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2011年10月19日 (水)

空腹の過酷さ ジョン・サミュエル


世界社会フォーラムでのG-CAP代表


ジョン・サミュエルの基調演説


【G-CAP(The Global Call to Action Against Poverty)
キャンペーンは、2005年1月27日世界社会フォーラムが開催されているブラジル・ポルトアレグレでルーラ大統領などを迎えて開始されました。以下の文章は、G-CAPの創立メンバーであり、アクション・エイド・インターナショナルの国際代表であるジョン・サミュエル(John Samuel)が、世界社会フォーラム 2005で行った基調演説の記録です】


物の豊富なこの世の中で、貧困に関連した原因によって毎日50,000人が亡くなっている。8億人が空腹のまま床についている。私たちはこれについて何をしたらいいのか――ジョン・サミュエル(John Samuel)が世界社会フォーラム2005での基調演説で問いかけた。

 私は深い苦悩と怒りを感じながら、ここに立っている。なぜなら、悪いニュースがあるからだ。それは、皆さんを憤慨させるようなニュースだ。皆さんのとても親しい人が、亡くなったと想像してみてほしい。それは外で遊んでいた自分の幼い子どもかもしれないし、自分の愛するパートナーかもしれないし、お母さんやお父さんかもしれない。私がその人の死を伝えなくてはならないと、想像してみてほしい。しかもその人が、不自然な理由で亡くなったのだと伝えなくてはならないということも。私が次の文章を話し終える前にすでに、皆さんの兄弟や姉妹や彼女や子どもだったかもしれない、何百人もの人々が亡くなっている。彼らは死を余儀なくされている。今このときに、世界中で50,000もの、そのような葬儀が行われている。私が話している今このときに、100万人の人々が、自分の愛する人の葬儀に参列して、墓地に立っている。彼らは皆、私の苦悩と怒りを分かち合ってくれるだろう。

 そう、物の豊富なこの世の中で、貧困もしくは貧困に関連した原因によって、毎日毎日50,000人の人々が亡くなっている。私たちの兄弟・姉妹の血が、地中から叫んでいる――この世の公正、平和、権利を求めて悲鳴を上げている。薄汚い墓地に埋められた彼らの骨は、何千ものはく奪と詐欺の物語を語ってくれる。破られた約束、灰と化した夢、空腹の物語である。現実を見ようじゃないか! 私たちに、そのような物語を語ってくれる人々は、少なくとも10億人はいるのだ。彼らは私たちの近所にいる。あなたは重要なことだと思わないのか? 控えめに見積もっても、8億人の人々が空腹のまま床についている。それがあなたの子どもだったら、そんなことが起こるのを許せるのか? そう、毎日、毎日、30,000人の子どもが5歳になる前に亡くなっている――十分な食べ物、もしくは薬がないというだけの理由で。3.6秒ごとに1人の人が餓死している。彼らは死に追いやられているのだ。これが、私たちの子どもや孫に伝えていきたい世界だろうか?

 これと同時に世界では、爆弾・銃を作り、戦備を整えるのに年間1兆ドルが費やされている。これは道理にかなっていない。これは犯罪であり、罪だ。これが、私たちが生きていたい世界だろうか?

 私はインドから来た。津波の被害の渦中からここに来た。その状況は言葉では言い表せない。私はアジアの各地で見てきた死臭と破壊を今も感じている。世界中の人々が、できる限りのサポートをして連帯を示してくれた。私たちはそのような連帯を、アフリカ、アジア、南米で亡くなっている何百万人もの人々に対して示すことができるだろうか? 自然は皮肉な方法で人々を扱う。今回の津波では、タイの五つ星リゾートで休暇を過ごしていた富裕な国の富裕な人々と、スリランカの漁民が、亡くなった。自然は、カーストも、階級も、性別も分け隔てしなかった。私たちはしている、が。

 けれども、人間が作り出した(man-made)――というより女性ではなく男性が作り出した(man-made)――「津波」は、この世の中で毎日毎日起きている。女性はレイプされ、子どもは殺され、HIV/エイズで毎日6,000人の人々が亡くなるままに放置されている。貧困には肌の色、性別、匂いがある。涙と血の匂いだ。彼らは傷つけられた人々だ――ダリット(注:カースト制度の最下層)、女性、アフリカ人…。どうして私たちは黙っていられるだろうか? メディアは忙しすぎて、コンゴやルワンダやサハラ以南の国々で起きているそのような「津波」に注目しない。世界で最強の国々は爆弾を作って、売って、落とす商売と、「自由」をパラシュートで投下する商売に忙しい――卸売りも小売もだ。貧困が卸しで富裕な国々からアフリカ、アジア、南米の港に輸出されているとき、私たちは何をしたらいいのか? CNNを観て夕食を食べ、床につけばいいのか?

 「グローバルな貧困根絶キャンペーン(G-CAP、The Global Call to Action Against Poverty)」はモーニングコールだ。私や、皆さんのような人たちに対するモーニングコールなのだ。まどろみから目を覚まして、行動しよう。公正、平和、権利のために、行動しよう。G-CAPはまた、大統領や首相に対して、彼らが仕事中に寝ているのだということを知らせるためのモーニングコールだ。G -CAPは、世界中で活動している組織間の連合の中でも最大規模のものの一つだ。これは、草の根やコミュニティベースの組織から、国際的な労働組合、何百もの人権・開発団体、グローバルなネットワークまでが集った連合だ。G-CAPは、イギリスの「貧困を過去のものにしよう(the Make Poverty History )」キャンペーンや、「世界の子どもに教育を」キャンペーン(Global Campaign on Education)、貿易公正運動(Trade Justice Movement)などの様々なキャンペーンを通して、形作られてきた。また、不公正な債務に異議を申し立てるジュビリーキャンペーンの経験を元に、形作られてきた。これらのキャンペーンに関わる100人の人たちが、2004年9月、ヨハネスブルグで会合し、共同行動のためのグローバルなプラットホームである、G-CAPを形成したのだ。世界中からの何百もの参加団体と、主要なキャンペーンが、以下の4つの主な課題について共に活動することに合意した。


貿易の公正。富裕な国々は、貧しい国々の人々から彼らの生活と生計の手段を奪う、ダンピングと不当な農業補助金を止めなければならない。WTO(世界貿易機関)の不公正な貿易体制と、アフリカ・南米・アジアの国々に押し付けられている不公平な貿易ルールを、止めさせなければならない。


債務の帳消し。貧しい国々は、富裕な国々とその取り巻きであるIMF(国際通貨基金)や世界銀行などに、毎日1億ドル以上を支払っている。これを止めさせなくてならない。つまり、今すぐ不公正な債務を帳消しにしなくてはならない。


援助の質と量を大幅に増大すること。不当な条件を付けずに、である。富裕な国々が開発のために、GNP(国民総生産)の0.7%を拠出することはすでに同意済みである。


地球上から貧困を無くすための努力、また、民主的で説明責任を果たせる方法を通してミレニアム宣言とミレニアム開発目標を達成するための努力を、国レベル・国際レベルで行う。水、保健、教育などの公共サービスにおける、自由化と民営化の強要を止める。

 ニューデリーからニューヨーク、スリランカからロンドン、ブラジルからベルギー、モンバサからメルボルンに至るまで、世界中の何百もの村や町において、民衆によるアクションが行われる。世界中のどこにいようと、各個人だれでも、たった一つの行動をすることによってこの運動に参加できる――白いバンドを身につけることによって。白いバンドを身につけることは、あなたが貧困に対する闘いのためのグローバルな運動に連帯していることを示すことになる。白いバンドを身につけることは、あなたが不公正に対して異議を申し立てているということを表明することになる。白いバンドを身につけることは、あなたが世の中をよくしたいこと、あなたがこのグローバルな運動を支持していることを示すことになる。白いバンドは、連帯、公正、平和の象徴なのだ。

 共に行動すれば、私たちは山を動かすことができる。貧困と収奪の山、債務の山、私たちの港に積まれたダンピングされた物の山を。自由の邪魔をしている、不公正と不公平の山を。そしてその自由とは、恐怖からの自由、貧困からの自由だ!

 2005年、私たちには、世界に対して自分たちがこれらのことを重要だと思っているのだということを知らせるチャンスがある。心地よいとはいえない疑問を問いかけるチャンスがある。私たちは、なぜ爆弾を作ったり戦備を整えたりするのに毎年1兆円を費やしているのに、貧困をなくすのに数十億ドルを費やすことができないのか、問いたい。富裕な国々、大きく太ったのに説明責任を負おうとしない多国籍企業、非民主主義的で説明責任を果たさないIMFや世界銀行のような機関は、変わらなければいけない! ワシントン(米国政府)とブリュッセル(EU(欧州連合)本部)の政策立案者たちは、貧困をなくすより、貧しい人々を排除することの方に熱心になっているようだ。このような不正行為は続けさせられない。私たちは、破られた約束の、薄汚い墓地に立っている。その約束は、リオ、ウィーン、北京のサミットでいかにも本当らしく誓われた約束だ。だから、ミレニアムの幕開けである2000年9月に、189カ国の首脳が会合してミレニアム宣言を採択し、国連が8つの明確なミレニアム開発目標(MDG)を発表したときも、貧しい人々と社会的に無視されてきた人々は、活気づけられはしなかった。なぜなら、約束を破ることにおいて、各国政府は負かすことのできない実績を持っているからだ。

 実のところ、ミレニアム開発目標は、最善の策ではないかもしれない。十分ではないかもしれない。不公正と不平等を消し去る特効薬ではないかもしれない。けれども、臭いものとして貧困に蓋がされている今、そして、富裕で強力な国々の安全保障が情勢を支配していて、国連安全保障理事会の座が多くの国の最大の関心事となっている今、そんなMDGさえもが、かつてないほどに重要性を帯びてきているのだ。なぜなら、国際政策の優先事項の中には、貧困と権利に関するものがMDGのほかに何もないのだから。ネオコン(新保守主義)とユニラテラリズム(一国主義)の力が強まっている状況の中では、対テロ戦争が中心に据えられ、貧困は都合よく棚上げされているのだ! 私たちは、MDGの約束が確実に守られるようにする必要がある。私たちは、女性の権利が全ての開発方針の骨子に含められることを保証する必要がある。

 2005年、世界の貧困問題に影響を与える3つの重要な出来事がある。それは、イギリスで7月5日に開催されるG8(先進8カ国)サミット、9月に開催される国連ミレニアム+5サミット、香港で12月13~18日に開催されるWTO閣僚会議である。7月、9月、そして12月のWTO閣僚会議の間、世界中の何百万人もの人々が、白いバンドを身につけて連帯を示し、公正のための運動に参加する。2005年、世界中の人々が協力することになる。

 貧困は、歴史上の偶発的な出来事ではない。貧困は、各国間・各社会間の、また各国の中・各社会の中における、不平等で不公正な力関係によって、日々作り出されるものだ。貧困は、世界のより貧しい国々から資源を搾り取り天然資源を収奪することに忙しい、数少ない富裕で強力なひねくれた国々によって、作り出されるものだ。

 私たちは、それでもあえて夢見る。貧困がなく、一人ひとりが自由と尊厳を持って生きることができる世界を。けれども、私たちは世界をその方向に動かすように仕向ける必要がある。なぜなら、政策立案者たちは、永遠に象牙の塔にこもってはいられないからだ。彼らは、街頭に出てこなければいけなくなる。彼らは、何百万人もの人々の声を聞かなければいけない。仲間たちよ、目を覚まそう! 世界をよくする運動に、参加しよう。

 マーティン・ルーサー・キングが言ったように、一つの場所における不公正は、全ての場所における公正にとっての脅威となる。世界中にとっての最大の恐怖は、空腹がもたらす過酷さである。8億人が空腹の過酷さを味わっているときに、少数の人々の安全保障を考えることなどできるだろうか?

 自由は、少数の人々の特権ではない。平等は、テレビのチャンネルと空約束からもたらされるものではない。爆弾は、イラクであれどこであれ、自由と民主主義をもたらすことはできない。そして私たちは、地球上の最後の1人が自分を自由と感じられるときまで、声を上げ続けるだろう。自由とは、恐怖からの自由、貧困からの自由だ。私たちは、この不公正が続くことを許さない。もし、私たちが断念してしまったら、私たちは毎日起きている何千人をも巻き込む大虐殺の中で、沈黙という犯罪文化に加担することになる。私たちは説明責任を求め、公正を求め、これらの権利を主張する。この新たに生まれた運動を代表して、私は皆さん一人ひとり、そして全ての団体に対して、今、貧困を終わらせるための運動に参加するよう呼びかける。私たちで変化を起こしましょう。

(G-CAPは、1月27日、ポルトアレグレの世界社会フォーラムにおいて開始された。この文章は、G-CAPの創立メンバーであり、アクション・エイド・インターナショナルの国際代表であり、ウェブサイト「インフォチェンジ・ニュース・アンド・フィーチャー(InfoChange News & Features)」の編集者であるジョン・サミュエルが行った演説の記録である。この開始の際には、ブラジル大統領のルイス・イナシオ・ルーラ・ダシルバと、10名以上のブラジルの閣僚が出席した。)


出典: http://infochangeindia.org/analysis59.jsp

翻訳:オルタモンド翻訳チーム

http://141.txt-nifty.com/141/2006/08/undp_8c35.html

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